薬物が解決してくれると思っていた

薬物乱用防止教育の弊害

1981年(昭和56年)に、「深川通り魔殺人事件」という薬物乱用者による事件が起きた。商店街の路上で、主婦や児童らを包丁で刺し、児童1人と乳児1人を含む4人が死亡、2人が怪我を負った事件です。のちに犯人が覚せい剤の使用があり心神耗弱状態ではあったが無期懲役の判決が言い渡されました。当時は第2次薬物乱用期(第1次乱用期は戦後の昭和20年から29年頃まで)にあり、社会問題として大きく取り上げられることとなり、1980年代の日本民間放送連盟の麻薬撲滅CMで「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」というキャッチフレーズをもとに薬物乱用撲滅キャンペーンが大々的に行われました。この、「人間やめますか?」というキャッチフレーズは人権侵害問題でもあります。その後の薬物依存者への廃人やゾンビといった誤ったイメージ植え付けることになり、今も教育機関などでは、一度薬物を使った人間が回復できると知れば薬物を使ってしまうのではないかということで、回復者が薬物乱用防止教育などに関わることを否定的にとらえる教育関係者もいます。

80年代から今日まで続く薬物乱用防止教育の弊害は薬物問題に携わる専門家においても、小学校、中学校、高校、大学と長年教えられてきた「ダメ!絶対!」という洗脳のような刷り込みが基本にあっての薬物問題の解決や支援や医療となっていたのでは上手くいくはずもなでしょう。この薬物や依存に関する誤解や偏見を解くことも大変なことです。2016年(平成28年)には、依存症の治療・回復の関係団体と専門家が「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」が結成され、誤解や中傷を振りまくのではなく、依存症という病気を正しく伝え、回復を後押しする報道が行われることで世の中の依存症問題が改善されていくことを目指して活動をされています。

 

依存症発病ハイリスク要因

なぜ人は依存症になってしまうのかいう問いへの答えとして、虐待や不適正な養育を体験した人は依存症なるリスクが高いといわれています。また、AC(アダルト・チルドレン)アルコール依存症者のいる家庭で育った人たちや機能不全家庭で育った者の中には、幼少期に虐待を含む様々なトラウマ的出来事を体験しために、思春期以降、生きにくさや対人関係上の問題が表面化し、その結果、アルコールや薬物問題、ギャンブル、暴力、情緒不安定といった精神および行動上の問題を抱える者が少なくありません。実際に全国のダルクを調査したデータからも、中学生ごろまでに暴力を受けた(45.4%)、心が傷つく様なひどいことを言われた(51.3%)、ネグレクトを受けた(20.7%)という者があった。生育歴上の困難を経験している場合も少なくなく、児童虐待や暴力被害の経験者が半数近い。となっており快楽のために使っているというより、傷を癒し、心の痛みを取るために使っている人たちが多いのです。

 

なぜ私たちは、はまりやめることができなくなってしまうのか?

その根底にあるのは孤独感とか疎外感、対人関係の不器用さ、それから経済的な困窮から、お金を手に入れるために違法な事を始めるということもあるでしょう。それは生きづらさとか、生きにくさを感じる世の中になってしまった社会において、自分で解決するために様々なものと出会い、ギャンブルが自分を癒してくれた、もしくはアルコールが自分の気分を変えてくれた、薬物が気分を変えてくれた、そういった体験をかさねていく事になりアディクションを発症してしまうのだろうと思います。また、そういったネガティブな心のありようがまったくない人でさえ、薬物を使い続ければポジティブなもの、健康的なものを失っていく事になりますし、結果的に生きづらさや生きにくさを抱えていくことになります。ただ、ネガティブな心のありようがあったとしても多くの人が様々な出会いにより健康な生き方を手に入れる人もおられます。トラウマやPTSDから抜け出せた人達のレジリエンス(うまく適応する能力やその回復プロセス)に学ぶ必要があるのではないでしょうか。

 

薬物乱用防止からアディクション予防へ

たとえば虫歯をイメージしてもらうといいと思います。虫歯で生まれてくる人はいません。(いるという人がいればごめんなさい)成長の過程できれいな歯が生えてくる。そしてしっかりとした歯磨きの仕方やその頻度を親から教えられたり学んだりします。しっかりと学んだ人は虫歯にならずに成長していけると思うのです。加えて体質もあると思います。口内環境が酸性かアルカリ性かという体質もあるでしょう。ただ朝昼晩とブラッシングをしっかりしていれば虫歯になるリスクは低い。ある日いい加減なブラッシングをするようになってしまえば虫歯になるでしょう。そこで虫歯になったと言うことを叱られるかもしれないと思うと隠そうとしたり、治療にも行かなかったりとなると、虫歯はどんどんと大きくなり重症化していきます。痛み止めを飲んでやり過ごすことはできるが虫歯は進行していきます。いよいよ治療しなければならないとなった時には、差し歯や入れ歯ということになってしまう事になるでしょう。依存症も虫歯と同じようなものです。最初は小さなこころの傷つきや生きにくさ、ネガティブなこころの痛み、そういったものをアルコールや薬物で解決しようとしても根本的な解決にはなりません。心の痛み止めになっているようなもので、少しずつ虫歯のように生きにくさや生きづらさは大きくなっていき、最終的に自分には手に負えなくなってしまいます。時に自ら命を絶ってしまう人も少なくありません。

「虫歯、ダメ!ゼッタイ!」こんな恐ろしい虫歯になるぞという脅しのキャンペーンと対処療法的虫歯治療を行う事だけをしてこなかったように、薬物問題においても依存にならない、進行させないこころのブラッシングや治療、ケアの仕方をしっかり学び実践できるような取り組みが必要と思います。癒されることはだれにとっても迷惑なことではないと思います。そのような仕組みが地域社会にあれば、心の虫歯は減らせるはずです。こころの痛み止めを使う必要もないと思っています。これは家族に期待するだけでは足りません。家族がブラッシングを学べていない、理解していない、子どもとゆったりとかかわる余裕のない家族も多いからです。それはダルクを調査した統計的にもはっきりと出ていて、ダルクに通っている人たちの男性で67%強、女性で72%強が中学までに虐待経験がある。このように自身が抱える問題を人に話せず、解決できずにさまよっているうちに、薬物で気分を変える事を学んでしまった人たちが多くいるわけです。コロナ感染の影響があるといわれても、歓楽街の夜の盛り場に行ったり、パチンコ屋に行ったりすると「開いているから行くのだ」と、他人に責任を転嫁してアディクティブな行動を起こすわけです。仕事も終わろうとする夕方4時半になったらお酒の飲酒欲求が出てきて、「早く5時にならないかなぁ~、どこで飲もうかな」というような人たちもいます。もしくは腹立たしさとか寂しさからお酒や薬物を使う人もいます。こういったことが引き金になり、ふっとアルコールや薬物が使いたくなる。梅干しを見て唾が出るように、意識しているわけでなくて、もっと思考より深いところから渇望が湧き起こってきて、薬物の事を考え使いたくなり使用してしまう。このサイクルを変える必要があります。

薬物依存になってしまうリスクが誰にでもあるのですが、不健康で不健全な関係を持っている人は依存症になるリスクが高く進行も早いでしょう。健康的なつながりを持っている人は薬物を使ったとしても単発的なもので、使い続けることもなくやめていく人も多くおられます。

アディクションの反対はコネクション言われているように、アディクションの反対は正常とか健康ではなく、つながりがあるという事です。別の言い方で依存症とは「孤立の病」とも言われています。私自身も回復の途上で過去を振り返ってみるとやはり在日朝鮮人で、里子に出されて父親は知らない。いじめを受け、家族にも相談できずにいました。家族の中での健康的なつながりも弱く、友だちとのつながりも薄かったのです。つながりの希薄さとか歪さが薬物依存、もしくは他の依存に向かわせるのではないかと考えています。逆に言えば、健康的なつながりがさまざまにあれば、人生が充実していると言えるのではないでしょうか。家族との関係、兄弟、それから友人関係、学校、職場、趣味があるかどうか、ペットを飼っているか、経済的な安定があるか、信仰を持っているか、夢や目標を持っているか、地域でボランタリーな活動や役割があるということが、人生が充実しているといえるし、そうであればまったく薬物なんて使う必要がない。また、間違ったり失敗したりした時によりそってくれる人や癒される居場所が必要ではないでしょうか。私たちはもうアルコールや薬物を使って何かを解決する必要はないのです。

嗜好品大麻合法化の流れ

国内の青少年の薬物犯罪は平成の初めころからは劇的に減っている。平成26年頃から若干大麻が増えてきている。
ただ、平成26年までは危険ドラッグが蔓延していたのでそれを考えると平成20年ごろのす水準に戻ったと言えないか。
諸外国の医療用大麻の合法化、嗜好品大麻合法化による影響も受けて増えてはいくだろう。

平成30年犯罪白書より
平成30年犯罪白書より

 

大麻が全く問題がないわけではない。
カナダ政府のデータでは、10人ひとりが大麻依存になるリスクがあり、少年のころから使っていると6人にひとりが大麻依存になるリスクがある。毎日使っていれば、4人にひとりが大麻依存になるリスクがある。
これは日本のアルコール依存リスクより低い。

アルコールやたばこが合法であっても国民の多くは利用しない。それは正しい教育や供給環境を整えれば社会が破綻することもない。

全く使う人がいなければ一番いいが、悪人はいるんだよね。
違法に売る人たちは根絶することは難しい。

違法行為を行う反社会的集団が販売を続けることで、だれかれ構わず売るだろうし、ほかのハードドラッグを売りつけられたり、振り込み詐欺や窃盗など他の犯罪に巻き込まれるリスクもある。

全うな登録販売者に販売させることで、そういった部分クリアできる。税収をそれなりに設定(たばこのように)して、教育や社会保障、依存症対策に回せばいい。
また、広告や販売の規制をしっかり行う。
テレビ、ラジオ、SNS等広告禁止、販売店舗時間の規制、自動販売機の禁止、未成年で入りできない販売店舗のみ(日本のアルコールもそうすればいいのに)などなど

使用者に対しての罰則強化ではなく、登録販売者への罰則、罰金を高い水準で設定すればいい。

今後の違法な大麻使用者が変に増えてしまう事になっていく前に諸外国の失敗や新たな政策から学ぶ必要がある。

薬物政策についての研究から、エビデンスのある政策を!
https://crimrc.ryukoku.ac.jp/

講演:「間違いだらけの薬物問題とその解決に向けて」

日時:令和元年7月13日(土)午前10時から正午まで
会場:城陽市立福祉センター ホール

・薬物やアルコール等の依存症になぜなるの?
・テレビの世界じゃない!薬物乱用を防止するためにみんなで考えたいこと
・決して他人事ではない!青少年のすぐそばに潜む薬物の恐ろしさ
・木津川ダルクでの最前線の活動の様子など

<講師> 木津川ダルク 代表 加藤 武士 氏

映画:<題名>「Voice !!!人権の教室」

【主催】
◇社会を明るくする運動城陽市推進委員会
◇ 城陽市青少年健全育成市民会議
◇ 城陽市教育委員会

※ 入場無料・事前申し込み不要
※ 当日は、満1歳以上のお子さんの保育をします。
保育をご希望の方は、前日までに教育委員会文化・スポーツ推進課( ℡ 56-4059 )までお申し込みください。

<市役所前駐車場について>
駐車台数に限りがありますので、できるだけ公共交通機関等を利用して、お越しください。

7月は、
◆ 第69回“社会を明るくする運動”全国強調月間です!
◆ 青少年の非行・被害防止全国強調月間です!

なぜ、私たちはこのフェローシップにいるのか?

グッドモーニング!
アディクト!

なぜ、私たちはこのフェローシップにいるのか?

私自身、今日、薬物をやめるということ自体に大きなエネルギーを使っていないし、再使用の不安があるわけでもない。

かつて20代は精神科病院の入退院を繰り返すこと10数回、仕事も出来ず生活保護で暮らす。友達からも距離を置き自分を恥じ、責める事も多かった。それ以外の時は、人を責め恨み、社会を責め恨んでいた。あとは、自暴自棄。健康的な思考やつながりも希薄。

そんな私でさえ回復できる取り組み方があることを知って欲しいし、救われる仲間が増えるという事で私たちも癒され、この方法に間違いないと確信できる。

ミーティングで薬物への囚われやそこからの回復について分かち合い意識し続けることとで、かつてのどうしょうもなかった自分が生きる意味のようなものを感じ自尊心を育てることもできた。

このフェローシップが広がることで安心や安全、ありのままでいいんだと思える場所やつながりが増えていく。

そのことはやめ続けていく者にとって大きな力となっているし、苦しんでいる者に希望を届けている。

回復を分かち合えるって、これほど心地よいものはない。

今週末、京都でリカバリー・パレードが行われます。

2019年5月19日(日)11:00集合(京都円山公園ラジオ塔前)
京都円山公園 スタート
京都市役所までパレード
アフターフォーラムは、カトリック河原町教会にて。

是非、お誘い合せの上ご参加ください。
よろしくお願い致します。

https://recoveryparade-kansai.jimdo.com/

バンクーバー薬物調査2018年5月 〜マリファナより、お酒に厳しい国の薬物政策〜

はじめに

2018年5月14日(月)から19日(土)まで、カナダ・バンクーバーで開催された「国際薬物政策研究学会(The International Society for the Study of Drug Policy:ISSDP)」に参加しました。わたしたちのチームは、「日本の薬物政策」について、セッション報告をしました。この機会に、先進的な薬物政策を実行しているといわれるバンクーバーの薬物政策の現状と状況を実地調査するため、NGO団体や大学を訪問しました。メンバーは、龍谷大学犯罪学研究センターのデビッド・ブリュースターさん、龍谷大学の石塚伸一さん、立正大学の丸山泰弘さん、弁護士の高橋洋平さん、そして加藤武士です。

以下は、バンクーバー薬物調査の報告です。

 

【準備調査】

2018年5月14日(月)、空港に到着後にサイモンフレザー大学の林佳奈准教授(健康科学部)やICCLR留学中の春日勉教授(神戸学院大学)たちから、カナダやバンクーバーの薬物関連の情報を聞き取り調査しました。日本におけるアルコールと大麻の取り扱いと、カナダでのアルコールと大麻の取り扱いが逆のようです。カナダのほとんどの州では、屋外での飲酒行為も法律で禁じられています。屋外で飲酒をしていた場合、罰金が科せられます。他方、横断歩道で信号待ちをする若者が大麻を吸っていてもお咎めがないという状況は驚きでした。バンクーバーの中心街を歩いていても、大麻の香りが時々漂っています。ところが、ビールを飲みながら歩いている人はいません。

 

【バンクーバー・リカバリークラブ(Vancouver Recovery Club:VRC)】Vancouver Recovery Club , 2775 Sophia St, Vancouver, BC V5T 3L1 カナダ

クラブは、2階建ての大きなビルディングにあります。アルコール依存症や薬物依存からの回復を望む個人に支援サービスを提供する非営利団体です。1983年の創業以来、VRCはバンクーバーでの唯一の24時間利用できるセンターを運営しており、食堂、ゲーム・ルーム、各種12ステップグループのミーティングを早朝から深夜まで週に56回も開いています。また、月1回の無料ヘアカットプログラムの提供や各種イベントなども開いています。年間60ドルの個人会員費とバンク―バー保健機構やコミュニティ開発の助成金、地方ゲーミング協会の助成金などで運営されています。地域のスーパーや小売店からの物資による寄付なども行われているようでした。お話をお聞きしたスタッフは、ボランティア・スタッフでした。スタッフは、すべてボランティのようでした。

 

【バンクーバー・ドラッグコート(Drug Treatment Court of Vancouver:DTCV)】 Provincial Court Of British Columbia – Vancouver Criminal Court, 222 Main St, Vancouver, BC V6A 2S8 カナダ

薬物依存者を支援する専門裁判所です。米国のドラッグコートをモデルにしたDTCVの目的には、①参加者に違法薬物の断薬を達成させ、維持させること、②参加者の肉体的、感情的、精神的健康と福利を向上させること、③参加者の住居、生活スキル、雇用、教育を改善すること、とあります。

コートへの参加は任意です。参加者は、ドラッグコート治療・資源センター(Drug Court Treatment and Resource Center:DCTRC)を通じて、14か月間の集中管理された日帰りプログラムに月曜から金曜まで参加する必要があります。また、無作為の尿検査が行われます。DCTRCは、保護観察官、依存症相談員、医療従事者および雇用援助者による統合チームによって、依存症治療、ヘルスケア、精神医療、住宅、財政援助、ライフスキルトレーニング、教育、レジャー活動など、参加者の複合的ニーズに対応する幅広いサービスを提供されます。このプログラムによって、薬物関連犯罪については、2年間で再犯を最大56%削減したそうです。全体の犯罪再犯率は35%低下しましたが、少なくとも50%の参加者が “重大な” 再犯のリスクがあったそうです。これらのプログラムは、将来の刑事犯罪や刑事司法制度との接触を減らすか、またはなくすことによって、公衆の安全を高め、国民を保護するという最も重要な目的を達成するために役立っています。

 

【インサイト・インジェクションルーム(INSITE)】 Insite Supervised Injection Site, 139 HASTINGS ST E, Vancouver, BC V6A 1N5 カナダ

突然の訪問だったのですが、快くインタビューの時間をとってくださったのは、INSITEのプログラム・コーディネーターのダーウィン・フィッシャー(Darwin Fisher)さんでした。気さくで、フレンドリーなお兄さんでした。

INSITEは、清潔で安全な監督環境で、ドラッグ・ユーザーは、自分の薬を街頭から持ち込み、安全に注射する場を提供しています。同時に、依存、医療、地域サービスにつなげることができます。スタッフは、慢性的に疎外され、非人道的扱いをされたドラッグ・ユーザーと寛容で礼儀正しい関係を作り出しています。

INSITEの利用者は、12名収容の注射室を利用して、看護師や高度介入訓練を受けたスタッフの監督下で自分の薬を注射することができます。利用者は、注射器、無菌調理器、フィルター、水、止血帯などのきれいな注入器具を利用できます。この器具の使用によって、感染症の広がりを軽減するとともに、静脈内の薬物使用者が受けやすい深刻な感染症の数を減らすことができます。注射後、利用者は、ポスト・インジェクションルームに移動します。安全な環境でジュースやコーヒーを飲んだり、スタッフと交流することができます。

INSITEのスタッフは、聞き取り時のエキスパートであり、利用者の話やニーズに耳を傾けて、創傷治療、住居ニーズ、薬物離脱管理やアヘン代替療法などの治療サービスへの紹介など、他のサービスにつなげる役割も果たしています。また、同じ建物の2階には、ONSITE(Onsite Detox&Transitional Housing Program)があり、解毒のためのデトックスフロア(12床)、解毒後に提供される移行住宅フロア(18床)があり、利用相談もできるようになっています。2007年の開業以来、のべ2,500人以上のデトックスプログラムへの参加と1,200人以上の移行期住宅プログラムへの参加がありました。

 

【サイモンフレザー大学サムナー研究グループ(Simon Fraser University Somers Research Group)】 Simon Fraser University Somers Research Group, 8888 University Dr, Burnaby, BC V5A 1S6 カナダ

同大学健康科学部のジュリアン・サムナー(Julian Somers)教授を訪問し、カナダの薬物政策や公衆衛生についてお聞ききました。同教授は、ブルース・K・アレクサンダー教授の「ラットパーク」研究にも関わっておられたそうです。同教授によれば、この研究右派、その後の生理、心理、社会学的研究にも影響与え、窮屈な環境に押し込められた人間は問題解決能力において広い環境に置かれたものより成績が悪いことや刑務所などの受刑者密度が高くなるほど自殺、殺人、病気などの問題発生率が高まることなどの研究に影響を与えました。

同教授自身も、バンクーバーのドラッグ・ユーザーやホームレスへの長期にわたる大規模なコーフォート調査などを行なっています。

 

薬物依存症回復施設ラスト・ドア(LAST DOOR)】 Last Door Recovery Centre, 327 8th St, New Westminster, BC V3M 3R3 カナダ

 

ラスト・ドアは、アルコール・薬物乱用および依存症者にトリートメントプログラムを提供しており14歳から18歳までの男性少年のための入所施設と成人男性のための入所施設において、質の高いプログラムを提供しています。12ステッププログラムをモデルに30年の実績を誇る名門施設です。入所定員は100名。入所施設は、カナダやアメリカ各地に点在しています。利用費は、1日300ドル。行政補助する入寮床も、一定数確保されています。

わたしたちは、昼食に招待され、40名程度の入寮者などと一緒に昼食をとりました。和気あいあいとした雰囲気で、ポジティブな雰囲気を大切にしているのが感じ取れました。

プログラムの中心にはボランティアがいます。彼らは、プログラムの卒業生であり、卒業生の参加によってコミュニティーモデルのプログラムがどれほど効果的であり、十分に機能しているかを知ることができました。この点は、12ステッププログラムにおける相互援助の原則と密接に関連しています。リハビリとピアサポートというアプローチが利用者の日常生活に組み込まれていました。利用者は、自分のペースで聞き、学習し、観察し、問題に関する情報と解決の視点の両方を先輩から得ます。これらの視点と情報から利用者は経験的に問題を解決する自分の能力を高め自尊心を高めていくプログラムになっています。

日本のリカバリ・パレードとよく似た「クリーン&ソーバープラウド(Clean & saver proud)」という大きなイベントが行われているそうです。ダルクととても共通点の多い施設でした。わたしたちダルクの目指す方向と近い施設で、ダルクの将来を見るような組織でした。

 

【バンクーバー地域薬物使用者ネットワーク(Vancouver Area Network of Drug Users:VANDU)】 Vandu,380 E Hastings St, Vancouver, BC V6A 1P4 カナダ

このネットワークの代表のアン・リビングストン(Ann Livingston)さんにお話をうかがいました。突然の連絡と訪問であったにもかかわらず、快く受け入れてくれました。

この組織は、1998年、薬物を使用するさまざまなグループを集めて結成されました。薬物使用者、その家族、および地域社会の生活の改善を推進しています。貧困、人種差別、社会的隔離、過去のトラウマ、精神疾患、その他の社会的不平等の現実が人びとの依存に対する脆弱性を高め、薬物に関連する害を大きくさせている、という認識を出発点として活動しています。ここでも地域社会の関与が犯罪問題や薬物問題の解決に欠かせないとおっしゃっていました。

VANDUは、バンクーバー市民と一緒に、ヘロインやコカインの処方プログラム、利用者の住宅、アクセス可能な効果的なデトックスや、効果的で思いやりのある幅広い研究事業などへの協力、不正薬物使用の有害な影響を最小限に抑えるよう努めています。インジェクションルームのような薬物回復支援より、ドラッグ・ユーザーの生活支援に直接的資金提供をすることを提案しています。資金が提供されると、薬物に使用すると心配する人もいますが、実際は多くの人が、安定した生活とその向上に使うだろうとおっしゃっていました。

 

【学会報告(ISSDP)「日本の薬物政策」セッション】

龍谷大学犯罪学研究センター (CrimRC) 研究員ディビッド・ブルースターさんのコーディネイトでセッションは進められました。

まず、デイビッドさんが「日本における薬物乱用対策の戦略と手法」を報告し、つぎに、高橋さんが「薬物政策と法的諸問題」、石塚さんは「日本における薬物政策の傾向、転換および新たな政策:厳罰、ダイバージョンそれともハームリダクション?」、丸山さんは「日本の薬物政策の新たな動き:処罰に依存しない政策をめざして」でした。

同時間に5つのセッションが併行しておわれており、参加者はあまり多くはありませんでしたが、報告後、参加者と多くの質疑応答とディスカッションが行われ日本の薬物政策とチームの研究活動に関心が寄せられました。ここで知り合った研究者と親しくなり、INSITEなどを一緒に訪問することになりました。

 

【カナダの大麻解禁から学ぶ】

世界的にも大きな関心事になっているバンクーバーの嗜好品の大麻解禁ですが、今回の調査で、解禁の理由のいくつかが見えてきました。ます、①若者が大麻にアクセスできないようにすること、つぎに、②違法大麻市場を健全な市場に置き換えること、そして③大麻に対する製品の品質と安全性を求めて公衆衛生と安全を守ることなどが解禁の理由のようです。

解禁して若者を大麻から守るというのは矛盾しているような気がしますが、よく話を聞くとわかります。違法な市場で売人は若者に効能成分の強いものを売ったりします。安価で安全な大麻を健全な市場で販売することで違法な密売者を排除し、犯罪活動を抑止し軽減させる。さらには、違反者には重い刑を科す。日本のアルコール販売のような形にすることで若者を守ろうとしているようなものと思えば理解できると思います。要するに違法な強い酒を造らせず、アルコール度数の低い物だけを健全な市場で扱うようにするようなものです。

大麻使用を助長させる広告や啓発も禁止されます。若者の40%近くに大麻使用経験がある状況において、薬物犯罪の取り締まりや処罰するための司法への支出や経費を削減し、公衆衛生のための政策を強化して、薬物による健康リスクを縮減させ、人びとにこの政策の理念を伝えて、薬物使用の健康の啓発に努める。日本のタバコやアルコールのように、市場を厳格に管理し、国民を物質による被害から守るという政策に似ています。

カナダでは、大麻使用者が国民の50%半数と言われるほど薬物使用が蔓延しています。5日本でも毎日飲酒する人は40%ぐらいでしょうか。機会飲酒を含めると、もっと高い数値になるでしょう。

多くの大麻が処罰からの政策変更をされている国では、30〜40%近い大麻の使用者・経験者となったあたりを臨界点に、政策を刑罰から公衆衛生へと転換するようです。実際、合法となったから全国民が使用し社会が破綻するようなことは起きていません。日本では大麻使用経験率が1.2%と言われていますから、現時点での合法化はすべきではないでしょう。しかし、今のうちから公衆衛生における政策転換を行わなければ、結局のところ犯罪者を多く作り出す、そのデメリットが使用者を増やしていくことになるのでしょう。いずれ政策転換をする日が来るのなら今からゆっくりと段階的に政策変更をすべきだと考えます。

今回の調査は、薬物問題の認識や今後の取り組みにとってとても有意義な示唆を与えてくれました。これからも、世界の最新の薬物政策を学び日本の薬物依存問題の解決のために活動していきます。引き続きご支援のほどよろしくお願い致します。

加藤 武士

 

覚せい剤の再犯者を減らすには!

覚せい剤事件の再犯率が65%超えると言われているが、それを下げるためには本人の取り組みも必要だが、薬物を必要としない生き方を支援する仕組みが地域社会になければ下げることはできない。

一度使えば薬物乱用者、依存者、犯罪者とうレッテルを張り排除すれば再犯率は上がる。

罰を与え刑務所へ入れても再犯率を下げるのには効果的な方法ではないという事です。

薬物を必要としない生き方には健康で文化的で安心できるつながりが必要です。

協力的な地域、家族、友人、職場、学校、趣味、ボランタリーな活動の場、信仰、夢、目標、生きがい、やりがいなどなど。

現在、法務省の刑務所処遇を中心とした矯正関係経費だけで、年間2319億円の予算です。(平成28年度予算についてより)

単純に経費(2319億円)÷ 受刑者数(5万人)だと受刑者一人に450万円程度の費用が掛かっているという事ですよね。これも税金なわけです。

生活保護受けて障害福祉サービスを使ってダルクに入所しても年間同じぐらいの金額になると思う。障害福祉サービスを使わない、木津川ダルクだともっと安くつくわけです。

同じ税金を使うなら効果のある施策を行う方が良いと思うのですがね。

刑務所で使わない人間になって帰ってくるわけではないのですから。

京都府 平成30年度 宗教法人関係者 人権問題研修会

京都府と京都府宗教連盟では、南部と北部の2会場で、人権問題研修会を開催いたします。
薬物依存症というと、覚醒剤や大麻などの違法薬物を使用する一部の人の問題と思われがちで、偏見から、依存者その家族、依存から回復した人等への差別の問題が起きています。
あらゆる人権に配慮することが求められており、薬物問題に悩んでいる当事者や家族等を地域社会で支えることが必要です。

※宗教法人の代表者をはじめ信者の方、そして府民のどなたでもご参加いただける研修会です。
是非、多数ご来場ください。

講演:「薬物依存問題の理解と支援に向けて」
講師:木津川ダルク 代表加藤武士( かとうたけし) 氏

こころの病、依存症、生きづらさなどから回復の道を歩んでいる本人と家族、友人、支援者、賛同者が、回復の喜びを祝う「リカバリー・パレード」などを紹介した映像を鑑賞し、依存者の回復を支える地域社会について考えましょう。

京都府 平成30年度 宗教法人関係者 人権問題研修会チラシ

日程・会場
平成30年9月11日(火)  (南部会場)
13:00~16:30 (受付12:30~)
京都ガーデンパレス 2階葵 (あおい)
京都市上京区烏丸通下長者町上ル龍前町606
TEL 075 (411) 0111

平成30年9月14日(金)  (北部会場)
13:00~15:30 (受付12:30~)
宮津市中央公民館 (みやづ歴史の館) 3階大会議室
場宮津市字鶴賀2164
TEL 0772 (20) 3390

お申込み・お問合せ
京都府文化スポーツ部文教課宗教法人・文化財担当
電話075 (414) 4522 FAX : 075 (414) 4523

主催:京都府、京都府宗教連盟

 

出版記念セミナー これからの回復支援 〜ダルクの向かう未来〜

出版記念セミナー
これからの回復支援
〜ダルクの向かう未来〜

日時:2018年6月9日(土)13:00〜17:00
18:30〜 懇親会

会場:東京医科歯科大学3号館2階 講義室1

最寄駅:御茶ノ水駅(JR中央線、地下鉄千代田線、地下鉄丸ノ内線)

参加費:無料
主催:特定非営利活動法人 東京ダルク
共催:ダルク八重洲倶楽部
協賛:明石書店
問い合わせ:東京ダルク 03-3875-8808(担当:幸田)

演者
成瀬暢也
埼玉県立精神医療センター医師

熊谷晋一郎
東京大学先端科学技術研究センター准教授

著者ダルク施設長
長崎ダルク/中川 賀雅
木津川ダルク/加藤 武士
三重ダルク/市川 岳仁
仙台ダルク/飯室 勉
東京ダルク/幸田 実
藤岡ダルク/山本 大
栃木ダルク/栗坪 千明
千葉ダルク/白川 雄一郎
北海道ダルク/森 亨
山梨ダルク/佐々木 広

まえがき より

すでにご承知のとおり、「ダルク」は30年以上の経験を持つ、日本でも稀な当事者活動である。しかし、その具体的な活動内容については、実はあまり知られていないようにも思う。というのも、全国のダルクはそれぞれが独立した団体であり、その活動の価値観と方法論は実に多様だからである。今までダルクについて書かれたものは、創始者である近藤恒夫によるものか、各地の代表者たちによる、それぞれのダルクに関する記述だろう。 この点において、今回私たちは大きなチャレンジを行ったと思う。それは「分担」である。全国のダルク代表者たちが、ひとつの大きなテーマを分担して語るというのは、今までなかったチャレンジである。この過程において、私たちはどれだけ議論をしたことだろう。時にはまったく異なる意見がぶつかり合うこともあった。だが、その議論の中で私たちはお互いの信頼を獲得していったように思う。そして、この「信頼」こそが、本書の完成のキーワードだったように思う。
本書は基本的に三部構成になっている。 一部は「回復」に関すること、第二部は「実践」、第三部は「連携」についての記述である。

松本班・嶋根班 合同研究成果報告会に参加してきました。

平成29年度厚生労働科学研究費補助金 合同研究成果報告会に参加してきました。

松本先生の刑に一部猶予制度における薬物依存者地域支援に関する政策研究では「Voice Bridges Project」(声の架け橋プロジェクト)では、おせっかいな支援を実践。

といっても実にシンプルだが効果がある。

それは、自殺未遂者に対する介入研究よりヒント得たとのことです。

緊急搬送されてきた自殺未遂者に年に3~4回程度短い定型文の手紙を出すだけで、3年以内の再企図率や自殺死亡死亡率を優位に低減させるとのことでした。

ずいぶん前に松本先生に緊急搬送されてくる薬物の過剰摂取や覚せい剤の急性期などの患者さんに、依存症理解や回復に関する情報提供はできないものかなどお話ししていましたが、少し形が違いますが救急搬時の治療や対応に変化が起きたのはうれしいことです。

私たちの経験からもプログラムから離れてしまった仲間に連絡のつく仲間にはたま~に連絡を入れたりしているとプログラムに戻ってきたりすることがありました。そんな経験からもこの「Voice Bridges Project」(声の架け橋プロジェクト)は効果が期待されます。

もう一つ嶋根班のダルク利用者のコホート調査(追っかけ調査)の報告では、ダルクに入所している利用者の断薬の高さに会場より一様のおどろきがあった。何せ入所6ヶ月の断薬率が88%、1年後でも76%が断薬を継続しているという数字。

会場からは、「驚異的だ」、「ダルクを出てからの数値が肝心」、「比較出来る調査はあるのか」など、ちょっとその効果の高さやデータに嫉妬したり、受け入れたくない気持ちがあるのか、素直にダルクで起きている薬物依存者の断薬に対する評価する声が少なかったのは残念です。

また、断薬を優位にする条件として、ダルク利用者間の仲の良さや、スタッフとの関係が良好かなどがありました。

そらそうだろうな。取り組めるプログラムとその参加者との関係性が継続率や回復に大きく起因しているということですね。

もっともらしいワークを権威的上から目線で行っても効果が低いという事なのでしょう。

今後も継続したおっかけ調査を行うことが伝えられ、会場からのリクエストなども受けながらダルクでの支援についてのエビデンスを伝えていただきたいものです。

今日もその追っかけ調査についての意見交換会が行われます。ダルクや回復を望むアディクトにとってより良い研究が行われることを望みます。

 

 

アディクション・リカバリー・サポート・センター(仮称)設置基金 12月末日進捗状況

寒に入り寒さひとしお厳しくなってきました。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

さて、日中支援の場を設置するために、アディクション・リカバリー・サポート・センター設置基金をお願いしております。

12月末日までに、43件 443,000円 集まりました。
引き続きご寄付をお願いしております。
よろしくお願い致します。


依存症や嗜癖行動は回復が可能であり、新しい生き方を手にすることができるという事実は、社会の中でほとんど知られていません。当事者や家族の人たちにもよく知られていない状況にあります。

そして、社会にはこれらの依存症や嗜癖行動に対する無知と偏見が少なからず存在しており、そのため当事者には「恥」の概念があり、回復が信じられず、回復の道につながるきっかけが得られず、長いあいだ病気や困難を抱え続け、あるいは悪化させていき、やがては死んでいく人たちも無数にいます。

アルコール・薬物依存者回復支援のスキームを他の依存者や嗜癖行動者にも提供し回復支援を行い、また、当事者、家族、関係者、地域社会、民間支援団体などが緩やかにつながる回復支援センターを目指します。

これまでアルコール・薬物依存問題に取り組んできた経験から生まれた実践活動の汎化をめざすモデルです。わたしたちは、アディクションは「孤立」のもたらす病(やまい)であると考えています。これからの回復のためには、様々なアディクション当事者と関係者がつながり地域社会の人びとや社会との関係性を再構築していく必要があります。

回復のためのプログラム、役割や出番がもつ意味、スポーツや文化活動の取り組みなど、孤立からの脱出の手段と機会、重要な他者との関係作り等に焦点をあてることでリスク管理中心の治療や更生ではない、その人らしい当事者主体の回復を目指します。


1 アディクション・リカバリー・サポート・センター設立、運営
概要
依存症の回復を総合的に支援する場が京都府下に存在しないために、日中の活動の場である回復支援センターの基盤として京都府南部山城地域に開設する。
(1)物品購入
電化製品・コピー機など事務用品・消耗品等を購入。
(2)依存症回復支援センター運営
運営と基盤整備あたり臨時職員(相談員等)としてアルバイトを雇う。
(3)周辺地域の事業所とも綿密な連携をとり活動する。


寄付金目標額  500万円
設置場所 京都府山城地区

【内訳】
物件借上げ費用 100万円
設備整備費用 150万円
障害福祉サービス事業指定報酬による運営までの維持費 200万円 (約4ヶ月)
予備費 50万円

第1期募集期間
2017年9月1日~12月31日


クレジットカードでも、ご寄付をしていただけます。
APARI WEST SHOP

- ご寄付振込銀行口座 -
京都銀行 木津支店 普通口座
口座番号:3765453
口座名:木津川ダルク 代表 加藤 武士
(キヅガワダルク ダイヒョウ カトウタケシ)

- 郵便振替 ー
(口座番号)00910 – 2 – 202402
(名義)木津川ダルク


また、日用品や食料品などが不足しております。ご家庭で余っている物品などがありましたら、ご献品いただけると非常に助かります。(米、味噌、乾物、調味料など。洗剤、石鹸などの日用品など。)
皆様どうかよろしくお願いいたします。

送付先
619-0214
京都府木津川市木津内田山117
NPO法人 アパリ 木津川ダルク
TEL: 0774-51-6597